対策・対処法
動画共有サイト
動画共有サイトは、個人が撮影した動画、所有しているビデオなどをインターネット上にアップロードして、他の人が閲覧できるように公開して共有するサイトのことです。撮影済みの動画を共有するだけではなく、撮影しながら生中継ができるサイトもあります。視聴だけなら会員登録をしなくても見ることができるサイトもあり、無料の会員登録をすれば動画のアップロードもできるようになります。
2006年にサービスを開始し世界で数億人が利用している「YouTube(ユーチューブ)」、画面上に視聴者のコメントを載せる機能を持った「ニコニコ動画」、6秒という短い時間の動画に特化し気軽に投稿できる「VINE(ヴァイン)※2016年サービス終了」、生中継で自分の私生活を配信する「ツイキャス」、10秒間の動画が投稿できSNSの機能のある「ミックスチャンネル(ミクチャ)」、15秒~3分のショートムービーを投稿できるSNSの「TikTok(ティックトック)」など様々なサイトがあります。最近では、X(エックス※旧Twitter)、Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)などのSNS、LINE(ライン)などの無料通話アプリでも動画を共有できるようになっています。
ケータイやスマホがあれば、カメラ機能を使って、撮影からネット上に投稿するまでとても簡単にできるため、子どもたちにも大変人気があります。最新のゲーム機には、撮影機材がなくてもゲームのプレイ中の画面を動画にして投稿する機能があるので、小学生も気軽に「ゲーム実況」の動画を投稿しています。
近年、動画共有サイトがきっかけでデビューする人がでてきたり、若手の芸人がブレイクしたり、芸能人のように小学生の間で人気の動画投稿者が出てくるなどTVとは違った大きな影響力を持つ新しいメディアとして急成長しています。また、小学生の将来なりたい職業に、動画投稿による広告収入で生活するYouTuber(ユーチューバー)と呼ばれる職業が上位にランキングされ、注目を浴びていますが、閲覧数を増やし広告収入をアップするため投稿内容がどんどん過激になっており、モラル違反などで度々ニュースで取り上げられるようにもなっています。
動画共有サイトは、文字だけでは伝わりにくい、演奏、ダンス、料理、工作などの様々なテクニックを伝えるには有効です。事実、これらのサイトからは新しい文化が生み出され、近頃では、動画で見たダンスを真似して踊った動画を投稿したり、自分が作曲した作品を投稿したりといったことが広がっています。
一方で、TV番組やDVDなどの著作権法に反した動画がアップロードされていることも珍しくありません。また、日本の法律では禁止されている無修正のアダルト動画なども、サーバーが海外にあれば日本からでも見ることができます。
動画共有サイトには、大勢の人が注目し「人気がある」ということで視聴をすすめるコーナーや、見終わった動画の関連動画ということで次から次に動画の視聴をすすめる機能がついています。一度見始めると、次々に似たような動画を見続けてしまい、つい時間をかけてしまいがちです。
動画共有サイトには、視聴人数を表示したり、その動画に対するコメントを記入したりする機能がついており、注目を集めたいがために投稿内容がエスカレートしていく子どもたちがいます。実際に、大人や社会への言いがかり動画を投稿する、万引きの様子を逃走しながら投稿する、中学生が小学生を蹴り倒す場面を撮影して投稿する、中学生が自分の着替えの場面を生中継する、中学生が自分が飛び降り自殺をする場面を生中継するといったことが起きています。
また、投稿者に直接メッセージを送信することもできるため、SNSや無料通話アプリなどと同様に、出会い系サイトで起きるのと同じようなトラブルもあります。
岡山県内で発生した動画のアップロードによるトラブル事例
いじめ動画をアップすれば必ず炎上し、加害者も被害者もより特定されやすく、デジタルタトゥーとして将来にわたりインターネット上に記録が残ってしまいます。また、いじめ動画でなくても、本人たちはふざけて面白半分に投稿したつもりの動画が、他人を深く傷つけてしまうこともあります。
- いじめを疑われるような動画を投稿して炎上した例
- 同級生に謝罪をさせている動画を投稿した例
- 教員を隠し撮りした動画を投稿して炎上した例
- 放置自転車を川に放り込んだ動画を投稿した例
等が岡山県内でも起きています(ここでは事例を特定できないように詳細は省いています)。
問題点・危険性
- 動画に没頭し、何時間も見てしまうことがあります。
- 子どもに不適切な、テレビでは放送されないアダルト動画や過激な動画などを見てしまうことがあります。
- 子どもの動画の視聴による高額な通信費の請求がくることがあります。
- 投稿の内容から、個人が特定される場合があります。
- 何気なく投稿した動画で視聴者の反感を買い「炎上」と呼ばれる状態になり、コメント欄に相当な数の誹謗(ひぼう)中傷が書き込まれることがあります。
- コメント欄やメッセージで、見知らぬ不特定多数の人と接触するきっかけになる場合があります。
- 視聴回数を増やすため、詳しい個人情報を自ら投稿したり、裸などの過激な動画を掲載したりするケースがあります。
- 投稿内容をめぐり友達間のトラブルが起きることもあります。
対策・対処
- 時間つぶしでむやみに動画を見るのはやめましょう。
- 動画はつい長時間見てしまいます。自分で見る時間などのルールを決めて守りましょう。
- 「見たくない」動画に出会うこともあります。見る動画は慎重に選び、興味本位で見ないようにしましょう。
- 多くの動画共有サイトでトラブルが発生しています。動画共有サイトが提供するサービス・仕組みをよく理解して利用しましょう。
- 動画は、身近な人が見ればすぐに個人が特定できるという事実を認識しましょう。
- 記事の内容やコメント欄では、人を傷つけたり、反感を買うような発言をしないように注意しましょう。
- コメント欄に誹謗(ひぼう)中傷が書き込まれた際には、記事やコメントをすぐに削除する、コメントを書き込めないよう設定するという手段があります。
- 動画共有サイトは何らかの悪意をもつ人も利用している可能性があります。関わりを持ちかける人を安易に信用しないようにしましょう。
- 知らない人や会ったこともない人にメールアドレスや、名前、電話番号、住所などを教えないようにしましょう。
- 誹謗(ひぼう)中傷等の被害にあった際には、加害者に関わらないようにブロックしたり、会員を辞めましょう。
- 万が一、悪質な誹謗(ひぼう)中傷や脅しの被害を受けた場合は、最寄りの警察署に相談しましょう。