携帯電話(ケータイ)やスマートフォン(スマホ)等の利用により子どもが巻きこまれるかもしれない問題について親子で考えるサイト

実態・事例

インターネットサービスの利用等に係る問題

誹謗(ひぼう)・中傷・いじめ

匿名で書き込みができるSNSやブログ、掲示板などに、実名で誹謗(ひぼう)・中傷されたり、頻繁に差別的な発言をされたりする等、悪質ないじめが行われる場合があります。

最近は、無料通話アプリ内のグループなどで、メッセージを読んでも返信しないこと(既読スルー)によって、「はずし」と呼ばれる、グループから排除し仲間はずれにする事例、仲間はずれにしたい人以外で新しいグループを作る事例、ターゲットを招待しては退会させる事例などもみられます。

最近、ニュースでも「炎上」という言葉をよく耳にするようになりました。ネットの世界では、一度書き込んだことは身近な人だけでなく、直接会ったことのない人にまですぐに拡散してしまいます。些細な書き込み、勘違いや書き間違い、言葉足らずなどが元で、学校での人間関係が傷つき、その延長でネット内でのトラブルが拡大することもあります。また、自分が気に入らない人を傷つける目的や、面白半分の時間つぶしで行うといった悪質な場合もあります。

「炎上」とは、芸能人などのインターネットでの発言に反発した多くの人が、発言内容をさらに多くの人に広め、誹謗・中傷などのコメントを書き込み、サーバーがダウンしたり、アカウントの閉鎖をせざるを得ない状況になること。

このような、各種のSNS無料通話アプリを利用したいじめ問題に対処するために、平成30年1月に改定された「岡山県いじめ問題対策基本方針」では、ネットいじめに対する未然の防止などの重要性が訴えられています。しかし一方で、ネットいじめは顕在化しにくく加害者が特定できない場合があることも指摘されています。

なお、フィルタリングは、見知らぬ人とのトラブルや犯罪を防ぐのが目的のため、このような身近な知人とのトラブルを防ぐことはできません。

クラスメイトのメールアドレスになりすました「なりすましメール」によるものや、「チェーンメール」を使ってうわさ話などの嫌がらせを流したりする事例も発生しています。

最近では、X(エックス※旧Twitter)で他人の名前を名乗ったアカウントを作成して、あたかも本人であるかのような振りをして、「嘘」をつぶやいたり(投稿したり)、YouTube(ユーチューブ)などの動画共有サイトに動画を投稿することで他人を貶めるなどの、新しい手口のトラブルも起きています。

プライバシー(個人情報)の流出

SNSブログ・プロフ・掲示板などには、名前・年齢・職業・住所・電話番号・学校名・趣味などの個人情報や顔写真の掲載をする記入欄があります。利用開始当初は問題なく使えていても、何かの書き込みがきっかけで、それらの情報が拡散したり、嫌がらせを受けたり、犯罪に巻き込まれたりすることがあります。

中でも中高生の多くが使用しているX(エックス※旧Twitter)は、日々の出来事をつぶやく(投稿する)ことが多いため、投稿された短文や写真を過去にさかのぼって閲覧して行き、文字上に「固有名詞」や「個人情報」が書かれていなくても、写真に写っている景色などから通っている学校が特定されたり、クラスや部活が特定されたりすることが珍しくありません。自分が思っている以外の人に内容を閲覧されないようプライバシーの設定を必ず行いましょう。「ポスト(旧ツイート)を非公開にする」設定にしたり、「位置情報付きでポスト」「電話番号の照合と通知を許可する」「メールアドレスの照合と通知を許可する」のチェックを外すなどして、知らない人からのフォローやDM(ダイレクトメッセージ)には応じないなどの対策が必要です。

最近は、スマホの不正アプリにより個人情報が抜き取られたり、スマホやアプリの設定ミスで個人情報が漏れる事例も発生しています。

また、スマホは、位置情報やカメラや音声など、そのスマホが管理している多くの情報を取り扱うアプリが数多くあります。「不正」や「ミス」などではない、正しい使い方をしている場合であっても、アプリを使いたいという気持ちが優先して、自分の個人情報が発信されることに対するガードが甘くなりがちです。アプリをインストールする時には、どのような情報を発信するアプリなのかを確認することが大切です。さらに、アプリを使用する場合は、アプリの設定画面でプライバシーの設定を必ず確認し、自分で必要なものを設定するようにしましょう。

ワンクリック詐欺、架空請求(経済被害)

ワンクリック詐欺、架空請求 一方的に送られてきた電子メールに記載されているURLを、興味本位からクリックしたら、会員登録を契約したことにされ高額な支払いを請求された、サイトを見ていて「注文ボタン」を押したつもりがないのに金銭を請求する内容のメッセージが表示されたなどの「ワンクリック詐欺」などの手口で、高額な支払いを請求するメールやメッセージが届くことがあります。また、心当たりもないのに、突然、高額な支払いを請求するメールが届いたりするのが「架空請求」です。

あたかも支払の義務があると思い込ませる内容や、「支払わないと家まで取りに行く」「個人情報を知っている」などと脅してくる場合もあります。しかし、相手にはこちらの事が分かるわけではありません。

こっそりアダルトサイトを見てしまった場合、恥ずかしくて大人に相談せず高額請求に応じてしまう事例がありますが、支払う必要はありません。

ネット上での契約の手続きは商法で決められており、利用者に契約する意思がないのに一方的に契約が成立することはありません。

最近ではツークリック詐欺など、何度もクリックさせることで契約したかのように錯覚させる手口も出てきているので注意が必要です。

有害サイトへのアクセス

インターネットを利用すれば、出会い系サイト・アダルトサイト・自殺サイト・薬物サイトなどの危険なサイトに簡単に行きつきます。これらは巧妙に偽装されている場合があり、一見問題がないサイトに見える場合もあります。

「アダルトサイト」では、アダルトグッズの購入やアダルトビデオの視聴が可能です。ネット販売は、コンビニで受け取ることができるサービスもありますので、保護者に内緒での購入も可能です。アダルトビデオは日本国内では違法の、海外の無修正の動画を無料で見ることも可能です。

「自殺サイト」では、確実に自殺をすることのできる様々な技術について解説しています。また自殺をしたい人が集まる「掲示板」などもあり、ネットで知り合った人同士の集団自殺なども起きています。

「薬物サイト」では、危険ドラッグの入手方法を調べることができます。高校生が学校で薬物の売買をしている事件も県内で起きていますし、危険ドラッグがきっかけで覚せい剤などに手を出してしまうケースもあります。

出会い系サイトと非出会い系サイト(コミュニティサイト)の違い

  出会い系サイト 非出会い系サイト
(コミュニティサイト)
利用に関する制限 18歳未満使用禁止 利用制限なし
「出会い系サイト規制法」による規制 規制対象 規制対象外
SNS無料通話アプリブログ動画投稿サイト、掲示板、ゲームサイトなど
サービス目的 大人の出会い斡旋 ネット上でのコミュニケーション促進
フィルタリング フィルタリングで見られなくなる フィルタリングの対象のSNSやアプリもあれば、対象外のSNSやアプリもある。また、一部のサイトやアプリを利用したいためにフィルタリングが解除されていたり特定のSNSやアプリが利用できるケースもある

2008年に施行されたいわゆる「出会い系サイト規制法」の改正により、出会い系サイトでの犯罪被害が減少する一方で、コミュニティサイトでの犯罪被害は増加し続けています。コミュニティサイトでの犯罪を防ぐ目的でフィルタリングが使われてはいますが、SNSやアプリの中には、フィルタリングの対象外となり利用できるものもあります。また、フィルタリングを設定したうえで、特定のSNSやアプリのみを利用するなどのカスタマイズも可能です。

このため、たとえフィルタリングを利用していても、そのような「対象外のSNSやアプリ」でのトラブルはフィルタリングの仕組みで防ぐことはできません。

トラブルを防ぐには、使う本人のマナーやルール、お互いの人間関係、SNSやアプリの特性や仕組みなどを十分理解する、不安ならば利用しないなど、使う人たちが自衛するしかありません。

見知らぬ人との出会いによるトラブル

SNSや無料通話アプリで、相手の素性を全く知らないまま、チャットやメールを通じたやりとりを行うことで、始めから犯罪を目的とするような人物と出会って危険に巻き込まれるケースがあります。

また、最初は悪意があるわけではなく普通にやり取りしていながら、ネットでのやり取りで一方的に過剰に相手に思い入れて、次第にストーカーのようになるケースもあります。

これらのトラブルは、ゲームサイトのチャット機能やビジネスで大人も使うような大手のサイトでも、多発しています。

これらのサイトは、正しくしくフィルタリングを設定したとしても、すべての被害を防ぐことができるわけではないので、本人に使いこなす力が求められます。

現在販売中のゲーム機や音楽プレーヤーにもインターネット接続機能があるため、同様のトラブルが起きています。これらはインターネット接続機器であるという認識が保護者には低く、低年齢で買い与えられる子どもたちが多いため、トラブルの被害も低年齢化しています。

「コミュニティサイト(無料通話アプリを含む)」をきっかけとした児童(満18歳に満たない者)の犯罪被害で急増しているのがX(エックス※旧Twitter)です。
(警察庁調べ)
2020年中に被害にあった1,819人のうち、35.5%はX(エックス※旧Twitter)がきっかけの事件です。一方、インスタグラム、ティックトック、koetomoなどの新しく登場したアプリがきっかけとなるケースも増えています。
(警察庁発表「令和2年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況」より)

岡山県内でのX(エックス※旧Twitter)の利用率は、ネットやコミュニケーションサービスを利用している児童生徒のうち、小学生で7.8%、中学生で29.1%、高校生で50.9%となっています。
(令和5年度 岡山県教育庁 人権教育・生徒指導課調べ)

このように、利用者の多いX(エックス※旧Twitter)での犯罪被害が増えているため、仕組みをよく理解して、アカウントの管理には十分に気を付ける必要があります。

  • 「ポスト(旧ツイート)を非公開にする(通称「鍵をかける」)」設定をしていないアカウントは、検索機能などで、誰でも投稿を見られる
  • 情報を過去にたどって自分の学校や部活などが特定されることがある
  • 鍵をかけていても、自分をフォローしている人には情報が見られる
  • 鍵をかけていても、見知らぬ人がフォローやDM(ダイレクトメッセージ)を送ってくることがある
など、自分が発信している情報が、どこまで見られている可能性があるのかに注意をすること、また知らない人からの呼び掛けには応じないなどの対策が必要です。

コミュニティサイトに起因する性被害

メッセージのやり取りをするSNSをはじめとして、動画投稿サイト無料通話アプリオンラインゲームなど、多様な形態があります。共通するのは、ネットにつながり、メッセージや写真や動画などを他の人とやり取りできることです。直接の知り合いでないと、やり取りができないものもありますが、多くは見ず知らずの人ともやり取りができます。
このため、同じ趣味の人を見つけたり、誰でもいいからランダムに関わったりするなど、様々な出会いが生まれます。そこが入り口となり、新しい人間関係が生まれたり、逆に人間関係が壊れたりするなど、現実の空間とはまた別の社会があるのです。

このような出会いをきっかけにして、性被害や連れまわしなどの被害にあう、18歳未満の人が増加しています。

(図1)犯罪被害児童数
※図:平成28年度および令和3年度「スマートフォン等の利用に関する実態調査の結果」より

かつては「出会い系サイト」でのトラブルがありましたが、2003年にいわゆる「出会い系サイト規制法」ができてからはトラブルが減りました。ところがSNSなどのコミュニティサイトや無料通話アプリ、一部のマッチングアプリなどはこの法律の対象外となるので、逆に被害が増えました。
X(エックス※旧Twitter)がサービスを開始した2008年からSNSでのトラブルが急増し、Instagram(インスタグラム)、TikTok(ティックトック)、ひま部(2019年サービス終了)、カカオトーク(2020年MicrosoftStoreAPPからダウンロードできなくなりました)、KoeTomo(声とも)、など新しい子ども向けのサービスや、キッズスマホの登場などが被害増加の一因になっていると考えられます。

また、これらの大手のSNSや無料通話アプリだけでなく、数多くのコミュニティサイトが被害の入り口になっています。見落とされがちなのがオンラインゲームで、オンラインゲームもチャット機能やボイスチャット機能でコミュニケーションできるため、被害の入り口になるケースがあります。
これらのサービスを通じて、2023年全国では、1,655人の18歳未満の児童が被害にあいました。このうち864人はフィルタリングサービスを利用していませんでしたが、117人はフィルタリングサービスを利用していたのに被害にあっています。
この年岡山では、31人が被害にあっています。約半数が高校生で、残りの半数が小学生や中学生などです。
被害の内容は、直接会ってトラブルになるだけでなく、裸の写真を送るよう指示されて動画や写真を送るなどの被害もあります。
ここに上げている数字は警察が検挙した数字です。検挙というのは警察が捜査を終えて検察に送致した数です。サーバーが海外にあるケースなど証拠不十分な場合は検挙されません。また、そもそも警察に被害届を出さないケースなどもあるため、実際の被害者の数はこれよりもずっと多いと考えられます。
なお、性被害というと「成人男性が未成年の女性を」という先入観がありますが、被害者が男性の場合もありますし、加害者が未成年の場合もあります。