実態・事例
子どものスマホの利用実態
防犯のため、家族と連絡をとるためにスマホはとても便利かもしれません。
親が持たせたいと思っている理由である「家族と連絡をとるため」だけに子どもがスマホを利用するのであれば、問題は生じにくいと考えられます。
しかしながら、実際は子どもたちはスマホに備わった機能をフル活用し、問題に巻き込まれたり、問題を起こしたりするケースが数多く発生しています。保護者がインターネット接続機器であるという認識が低い「携帯型ゲーム機」やテレビでも、インターネットに接続したことによって問題が起きています。
お子さんが実際に使用しているスマホの機能や利用実態と保護者が思っている利用方法との相違がないか、一緒に話し合ってみてください。
お子さんの成長に合わせて、利用実態は変化していくので、話し合いは定期的に行いましょう。話し合いの頻度は、スマホへの依存は進行が早いため、3ヶ月以内をおすすめします。
スマホを持たせた理由
「家庭における青少年のスマートフォン等の利用等に関する調査報告書」(令和4年3月 東京都)によると、保護者がスマートフォンを持たせた理由は「子供といつでも連絡が取れるように」が71.7%と最も多く、次いで「所在地がわかるように」の33.0%、「子供にせがまれて」はわずか17.6%でした。
このように、保護者は子どもに「連絡手段」としてスマホを持たせていますが、子どもの多くは、ゲーム、ネットやコミュニケーションサービスなど「連絡手段」以外の機能もたくさん利用しています。
岡山県の実態
岡山県教育庁人権教育・生徒指導課が令和5年12月に、岡山県内の小学校4年生から高校3年生までの児童生徒合計7,091人(抽出率5.6%)を抽出し行った「令和5年度スマートフォン等の利用に関する実態調査の結果について」によると、
- 小学生の85.0%(2,507人(抽出率5.3%)のうち)
- 中学生の96.0%(2,853人(抽出率6.0%)のうち)
- 高校生の97.5%(1,731人(抽出率5.6%)のうち)
が、ネットやコミュニケーションサービスを利用しており、その利用の実態は(図2)のとおりでした。
<ネットやコミュニケーションサービスを利用している児童生徒が回答>
これを見ると、ネットやコミュニケーションサービスを利用している児童生徒の多くは、LINE(ライン)などの無料通話アプリやX(エックス)などのSNSを始め、動画やゲームなどのサービスを利用していることが分ります。一方で「調べ物」にも使っている割合が多いので、「勉強のためにもなるなら仕方がない」と考える保護者もいるかもしれません。しかし、勉強しながらスマホを使うとSNSなどの誘惑・邪魔が入りやすいといったマイナス面もあります。
では、ネットやコミュニケーションサービスを利用していない児童生徒のスマホの使い方はどうでしょうか。この統計には書かれていませんが、インターネット以外の機能、通話機能やショートメールなどを連絡手段として使っていると想像できます。この調査からも「連絡手段」として携帯電話を使用している層と、スマホで様々な機能を使っている層がいることが分かります。
ところで、ネットやコミュニケーションサービスを利用することで、どのような問題が起きているのでしょうか。スマホ、ネット、コミュニケーションサービスを利用したことのある児童生徒で、悪口を書かれたり、トラブルにあうなど「嫌な経験をしたことがある」と答えた児童生徒は、
- 小学生2,131人のうちの5.3%
- 中学生2,738人のうちの6.6%
- 高校生1,688人のうちの4.4%
で、多くの子どもたちがスマホやパソコンで嫌な経験をしていることがわかります。嫌な経験の内容は、図3のように、コミュニケーショントラブルが多くを占めています。
<「嫌な経験をしたことがある」という児童生徒が回答>
また、ネットやコミュニケーションサービスを利用することで、「悩みや不安を感じることがある」と答えた割合は下記のとおりです。
- 小学生2,131人のうちの6.8%
- 中学生2,738人のうちの8.0%
- 高校生1,688人のうちの9.2%
悩みや不安の具体的な内容として、
- 「睡眠不足や視力の低下など健康問題に関すること」(小学生39.6% 中学生45.0% 高校生32.1%)
- 「自分の書き込みがあれでよかったかと後で悩む」(小学生25.7% 中学生39.1% 高校生28.8%)
- 「使っているコミュニケーションサービスの中での人間関係」(小学生22.9% 中学生44.5% 高校生36.5%)
などが子どもたちから挙げられました。
あなたのお子さんは、スマホやパソコンの利用で嫌な経験をしてはいませんか。
これらの結果から考えると、ネットやコミュニケーションサービスを利用することで、動画の視聴やゲームなどに時間を費やしてしまったり、SNSが利用できる反面、人間関係で嫌な思いをしたり、悩みや不安を感じてしまう恐れがあることが分かります。
自分で時間の制限ができなかったり、現実の友達関係を丁寧に積み重ねているうちは、ネットやコミュニケーションサービスを利用せず、通話サービスのみを利用したり学校等で直接話すことを優先するのも一つの解決方法かもしれません。