携帯電話(ケータイ)やスマートフォン(スマホ)等の利用により子どもが巻きこまれるかもしれない問題について親子で考えるサイト

実態・事例

生活習慣に係る問題

ケータイ・スマホへの依存

ケータイ・スマホへの依存

「ケータイ・スマホへの依存」とは、ケータイ・スマホが手元にないと不安な気持ちになり片時も手離すことができないといった状態や、ケータイ・スマホに束縛され振り回されている状態をいいます。総務省の平成26年版情報通信白書ネット依存傾向の国際比較によると、日本の10代から20代の68.3%が「ネット依存的傾向 中または高」でインターネット依存傾向にあるとのことです。

岡山県の状況は、岡山県教育委員会が発表した「令和5年度 スマートフォン等の利用に関する実態調査」によると、ネット依存傾向が「高い」または「中程度」とされた小学生は45.3%、ネット依存傾向について依存状態の可能性が「高い」または「注意が必要」な中学生は46.7%、高校生は53.4%だったといいます。

依存や束縛状態には、

  • ケータイ・スマホを置き忘れて手元にないと、不安で何もできなくなる
  • 授業中にケータイ・スマホを取り上げられると暴れる
  • ケータイ・スマホを見るために仮病を装ってでも保健室へ行く
  • 調べ物・時計・スケジュール管理など、あらゆる事をケータイ・スマホの機能に頼り、ケータイ・スマホがないと何もできない
  • ケータイ・スマホの利用時間が長い
  • 5分ルール」のため、風呂やトイレにまでケータイ・スマホを持って行く
  • 食事中や勉強中も手離さない
といった例が挙げられます。

⇒岡山県県教育委員会「ネット依存防止マニュアル」
⇒ネット依存に関する相談はこちら

5分ルール」とは、友人同士「お互い心配させないために、メールの返信は5分以内にするようにしよう」と子ども同士で決めるルールです。一見お互いのことを思いやるルールですが、実際には相手の生活や行動に配慮せず「返信を強要する」ルールになっています。このため、返信が遅れて仲間外れにされる事例が発生しています。また、具体的にこのようなルールを作らない場合でも、「返信をしないと相手に悪いのではないか」と考えたり、返信の早さややりとりの数に意義を感じて、片時もケータイ・スマホを手離さず風呂に持って入ったり、家族との食事中も常にメールに返信していたりするなどの「依存状態」の子どももいます。なお、最近の無料通話アプリでは、「10秒ルール」と言われるくらい、さらに依存度を増しています。

生活や学習習慣の乱れ

岡山県教育委員会の平成28年度スマートフォン等の利用に関する実態調査と令和3年度の同調査とを比較すると、自分専用のスマホ・携帯を持っている、または家族のものを借りて使っている児童生徒のうち、「平日の利用時間」が「1時間以上」の者は、小学生では39.2%から49.3%に増加、中学生では70.3%から78.8%に増加しています。

小学生は30分未満から5時間未満利用している時間帯で人数の割合が増えており、利用時間が全体的に増加していることが分かります。小中高ともに、3時間以上の利用者の割合は増えています。令和3年度調査では、自分専用のスマホ・携帯を持っている、または家族のものを借りて使っている児童生徒のうち、小学生は14.2%、中学生は28.2%、高校生は39.6%が1日3時間以上利用していて、いずれも平成28年の調査から増加しています。

中には、毎日5時間以上ケータイ・スマホを利用している子どもも小学生で4.0%、中学生で9.5%、高校生で13.4%おり、これは学校に行っている間と睡眠時間以外はほどんどケータイ・スマホを操作していることとなり、生活時間への影響が大きいと考えられます。

このため岡山県教育委員会はかつて2014年には「午後9時以降はスマホは保護者が預る。ゲームも午後9時までとする。」というガイドラインを示したり、中学生がケータイ・スマホの適切な使い方を考える「OAKYAMAスマホサミット(のちに高校生や保護者も参加)」を開催したりして利用者自身にルールを考える機会を設けています。また2017年には「我が家のスマホ・ネットルール」のチラシ配布をして、家庭でのルール作りを呼び掛けるなど、啓発活動を続けています。

ケータイ・スマホの使用について、利用者本人が時間制限などのコントロールができないうちは、本人専用のケータイ・スマホを持たない、持つとしても「通話機能のみ」など、使える機能を制限した機種やサービスを選ぶ、どうしても必要であれば家庭でのケータイの使い方についての話し合いやルール作りをすることがより一層必要となります。

※(図)平日1日当たりのスマホ等の利用時間(平成28年度と令和3年度調査の比較)
<自分専用のスマホ・携帯を持っている児童生徒に対する割合>
(図)平日1日当たりのスマホ等の利用時間<自分専用のスマホ・携帯を持っている児童生徒に対する割合>
※図:平成28年度および令和3年度「スマートフォン等の利用に関する実態調査の結果」より

コミュニケーション能力の低下

コミュニケーション能力とは、表情や声のトーンなどをフルに活用し自分の言葉で相手に伝え、また相手の気持ちを読み取る能力です。相手の表情や反応がすぐには分からないメールやネット上でのやり取りでは、コミュニケーション能力はなかなか育ちません。

短い文面では、人の真意は伝わりません。ところが、都合の悪いことや言いにくいことはメールで済ませたことにしてしまう風潮も見受けられます。

企業が学生に求める資質において「コミュニケーション能力」は上位に入っています。「仕事」は先輩や上司、お客様とのコミュニケーションなしには成立しないにもかかわらず、そのような資質を欠いた学生が増えているためです。

私たちが生きているのはリアル(実世界)な世界です。バーチャル(仮想)な世界ではありません。リアルな世界で通用するコミュニケーション能力を身に付けることが、リアルな世界で生きていくためには必要です。

「ながら操作」による交通事故

「ながら操作」による交通事故

歩きながら、自転車に乗りながら、スマホやゲーム機、音楽プレイヤー操作をすることによる事故が多発しています。ケータイ・スマホを操作しながら自転車に乗っていて歩行者とぶつかり重大な事故に至ったケース、歩きながら操作していて駅のホームから落下したケースもあります。

岡山県では「岡山県道路交通法施行細則」で自転車に乗りながらのケータイ・スマホの使用を禁止しています。